BEFORE
AFTER
「お気に入りのダウンに、とんかつソースがかかってしまって……」
先日、一着のTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)をお預かりしました。お話を伺うと、飲食店でお食事中に不運な事故に遭われたとのことでした。
お店側も誠実に対応してくださり、クリーニング代は負担してくれることになったそうですが、お客様の心境は複雑です。
「お金の問題じゃない。このダウンがちゃんと元通りになるかどうかが不安なんです」
他店で実際にどう言われたかは分かりませんが、この手の「油分と色が混ざった頑固なシミ」は、一般的なクリーニング店では「落ちきらないかもしれない」「生地が傷む」とリスク説明をされるのが業界の常識です。
私たちは、その「不安」を「感動」に変えるのが仕事。
84歳の現役職人が、4枚の証拠写真とともに、その復活の舞台裏を明かします。
1. ノースフェイス特有の「色目」が招く、最悪のシナリオ
今回のケースで最も難しかったのは、実はソースの汚れそのものよりも、「生地の繊細さ」にありました。
このタイプのTHE NORTH FACEの生地は、高機能でありながら摩擦に対して非常にデリケートです。特に今回のような薄い茶色のモデルは、シミを落とそうとブラシや布でゴシゴシ擦ってしまうと、その部分だけ繊維が毛羽立ち、光の反射が変わって「白っぽく」見えてしまったり、そもそも色が抜けやすい色目でもあります。
これがクリーニング業界で恐れられる「白化(はっか)現象」です。
一度白くなってしまった生地は、もう二度と元の色には戻りません。
「汚れは落ちたけど、そこだけ白くハゲたようになっている」
そんな仕上がりでは、お客様の悲しみは癒えません。
「やさしく適切な負荷と時間だけで、とんかつソースの複合汚れを分解する」
これが、今回84歳の職人に課せられた絶対条件でした。
2. とんかつソースという「難敵」を攻略する軟水の力
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とんかつソースは、油分、糖分、野菜エキス、そしてスパイスの粉末などが混ざり合った「複合汚れ」の代表格です。
職人は、まず生地を傷めない特殊な薬剤をシミの上に「置く」ように塗布しました。
ここで焦って擦るのは素人の仕事。プロは、薬剤が汚れを包み込み、生地から浮き上がってくるのをじっと待ちます。
そして、モリクリの魂とも言える「軟水」によるウェットクリーニング(水洗い)へ。
私たちが拠点を置く大阪・摂津の軟水は、ミネラルが極めて少なく、洗剤の洗浄パワーを限界まで引き出します。
硬水では石鹸カスが繊維に残ってしまいますが、軟水なら洗剤が繊維の奥までスッと入り込み、浮かせたソース汚れを根こそぎ「さらって」いってくれるのです。
物理的な力(擦る)に頼らず、水の性質と薬剤の化学反応だけでシミを消し去る。
これが、生地を白くさせないモリクリ流のシミ抜きです。
3. シミ抜き以上の驚き。ぺっちゃんこダウンが「パンパン」に復活!
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今回、お客様が一番驚かれたのは、シミが消えたことだけではありませんでした。
持ち込まれた際、そのダウンは長年の着用による湿気や皮脂で中の羽毛(ダウンボール)が固まってしまい、全体的に「ぺっちゃんこ」の状態でした。
しかし、モリクリの軟水洗いは、羽毛の汚れもしっかりリセットします。
軟水で丁寧に洗われ、不純物が取り除かれた羽毛は、乾燥工程で再び自由を取り戻します。
仕上がったダウンは、持ち込まれた時とは比較にならないほど、空気をたっぷりと含んで「パンパン」に膨らみました。
その厚みの差は一目瞭然。保温性も新品の頃のように蘇ったのです。
4. 結論:事故の悲劇を、最高のメンテナンス機会に変える
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飲食店での事故は、誰にとっても悲しい出来事です。
しかし、今回のお客様は「モリクリに頼んだおかげで、事故に遭う前よりきれいになって戻ってきた!」と、満面の笑みで喜んでくださいました。
シミが消えるのは当たり前。
さらに、生地を傷めず、ダウンの寿命まで延ばす。
それが、84歳の父と私が守り続けている「モリモトクリーニング」の誇りです。
THE NORTH FACE、モンクレール、カナダグース。
大切にしているからこそ、自分の手で信頼できる店に預けたい。
そんなあなたの想いに、私たちは技術で応えます。
大切な一着、諦める前に、モリクリ。
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